<イベント>
KAKERU #2

2020.09.16

第2回目のテーマも引き続き「各業界のプレゼンテーション術」業界が違えばプレゼン方法も違うので、しばらくはこのテーマを深堀していきます。
さて、今回は建築の中でも住宅設計をメインにされている無二建築設計事務所の代表、一級建築士の南氏のプレゼンテーションでした。
住宅といえば個人の生活そのもの。クライアント=施主さんは皆一般企業でいえば社長のようなものだと南氏は言います。ここに所謂BtoCの難しさを感じます。

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施主さんの要望は千差満別です。ほとんどの方が初めて家を買われたり、リフォームをされる方。
こちらの提案や話がどこまで通じるのか分からないので、設計側がどこまで共感し寄り添えるのかが重要です。
私たちが手がけるパッケージデザインはほぼBtoBで、担当者の方の多くはデザインや販促に携わる部署の方です。専門的な知識を持っているのとは違い、施主さんの知識や目線でどこまでスムーズに進めていけるかは、提案する側のプレゼンテーション方法にかかっているでしょう。
参考になった進め方をいくつかをご紹介すると。

想像力を合わせる

施主さんとの信頼関係は欠かせません。その方々がどのような想いで家を建てるのか、どのような好みでどのようなメディアで情報収集し、家をイメージしているのか。施主さんと同じメディアを覗き、想像力を推し量ります。
施主さんがもつ想像力に自分を合わせると、専門的な言葉や建築のプロとしての目線ではなく、お互いが理解できる言葉で提案ができるようになります。

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資料は上手いより旨い

建築のプレゼンではCGや模型での提案が多くありますが、そのCGや模型の出来栄えの上手さに感激していて、提案自体やデザインに感激しているかが判断しづらい。
また実際に出来上がった時の印象が変わってしまう恐れがあるため、現実とは違うイメージを持たれないよう、ビジュアルが完成されすぎていない方法での提案をすることが重要です。

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パターンを出す

例えば窓の大きさや位置ひとつとっても検討できるパターンは数多くあります。一度作ってしまえば簡単に修正できるというものではありません。
住まう人の目線でいくつも検証、提案する。これは無いだろうと思うパターンでも、とりあえず出してみることで何故ダメなのかを理解する事ができます。

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完成するまでの期間が非常に長く、一期一会である事が多い施主さんとの信頼関係をいかに築くか。そしてどんなに精密な図面や模型・完成予想図を描いても、出来上がった建築や空間に包まれたときに想像を超える事ができるか。
住宅はあくまで「依頼主が主役」であると南氏は言います。
その為にも、建築家の為の建築ではなく終始自身を「客観視」する。それが今回の大きなテーマであったように思います。

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無二建築設計事務所 代表 南啓史氏
大阪工業大学大学院工学研究科 修了後、建築事務所、フリーランスを経て2019年、無二建築設計事務所の代表就任。
“単なるハコ”をつくる人ではなく、「人生の密接なパートナー」であることを目指している。

https://www.nakaura-kenchiku.jp