【素材選びの教科書】パッケージデザインに最適な素材と加工技術

【素材選びの教科書】パッケージデザインに最適な素材と加工技術

パッケージデザインにおいて、色やロゴなどの「視覚情報」が重要なのは言うまでもありません。しかし、消費者が実際に商品を手に取る瞬間、その「手触り」や「重み」、「素材の質感」といった五感を通じて伝わる情報は、購買決定に極めて大きな影響を与えます。

株式会社グライドでは、単に見た目が綺麗なだけのデザインではなく、「売れる」という結果に直結するデザインを追求しています。本記事では、商品の魅力を最大化し、ブランドの信頼性を高めるための「素材選び」と「加工技術」について、私たちの知見と実績をもとに詳しく解説します。

1. パッケージは「最強の営業マン」:なぜ素材選びが重要なのか

私たちは、パッケージを「24時間365日休みなく働く最強の営業マン」と考えています。店頭に並ぶ数多くの商品の中から、わずか「0.2秒」で消費者の目を引き、自分に関係があるものだと直感させるためには、情報の整理と同時に、その商品の価値を裏付ける「佇まい」が必要です。

1-1. 素材がブランドの「声」になる

高級感を演出したい場合に、安価な光沢紙を使ってしまっては、どんなに優れたグラフィックでも説得力を欠いてしまいます。逆に、環境配慮を謳う商品であれば、再生紙の独特の風合いそのものが、企業の誠実な姿勢を伝える強力なメッセージとなります。グライドでは、素材の選択をブランドの価値観を表現するための重要な「翻訳」のプロセスと捉えています。

1-2. 投資収益率(ROI)としてのデザイン

パッケージデザインは、一度制作すれば数年にわたり機能し続ける「資産」です。広告費のような一時的な支出とは異なり、適切な素材とデザインによってブランド価値が高まれば、広告費をかけずとも売上が1.5倍〜2倍に伸びることも珍しくありません。素材選びにこだわることは、長期的なビジネスの収益性を高めるための戦略的な投資なのです。

2. 目的別・素材選定のポイント

商品の特性やターゲットに合わせて最適な素材を選ぶことは、機能性と情緒的価値の両立において不可欠です。

2-1. 環境配慮と上質感を両立させる「環境素材」

現代において、環境への配慮はブランドの必須条件となっています。

  • FSC認証紙・バガス紙: 森林管理の認証を受けたFSC認証紙や、サトウキビの搾りかすをリサイクルしたバガス紙などは、サステナブルな姿勢を示すのに最適です。
  • 質感の活用: 手触り感のあるざらついた紙を使用することで、素朴さや天然素材の良さを強調できます。グライドでは、植物性100%のお香のパッケージにおいて、これらの環境素材を採用し、印刷の色数を絞ることでコストを抑えつつ、上質な世界観を実現しました。

2-2. 食品の鮮度と体験を守る「機能性素材」

食品パッケージでは、美味しさを伝える「シズル感」に加えて、保存性や耐久性が求められます。

  • 耐水・耐冷加工: 冷凍食品や精肉などの輸送では、結露や温度変化に耐える素材選定が重要です。グライドでは、馬刺しのギフト箱において、従来の重厚な発泡スチロールを廃止し、表面にマットビニール引き加工を施したダンボール箱へ切り替えることで、高級感の演出とオペレーションの効率化、在庫スペースの削減を同時に実現しました。
  • ガスバリア性素材: お菓子の酸化を防ぎ、配りやすさと品質維持を両立させるために、個包装にバリア素材を採用するなどの工夫を行います。

2-3. ターゲットの感性に訴える「触感の設計」

  • 化粧品・ギフト: 手に取った時の指先の感覚や、ポーチに入れた時の見え方など、機能を超えた「美意識」の設計が重要です。
  • ユニバーサルデザイン: 高齢層向けのパッケージでは、読みやすさはもちろん、開けやすさといった物理的な使い勝手がブランドへの信頼に繋がります。

3.価値を劇的に高める加工技術

素材の魅力をさらに引き出し、競合他社との差別化を決定づけるのが「特殊加工」です。グライドでは、予算と効果のバランスを見極めた上で、最適な仕様を提案しています。

3-1. 視覚と触覚に訴える「箔押しとエンボス」

  • 箔押し加工(ホットスタンピング): 金属光沢を持たせることで、印刷インクでは表現できない高級感と耐久性を与えます。歯ブラシの新シリーズ展開では、ブランドの象徴であるダイヤのイメージを箔押しで表現し、ドラッグストアの激戦区で「ワンランク上の機能性」を視覚化することに成功しました。
  • エンボス加工(型押し): 紙に凹凸をつけることで、光の当たり方による表情の変化を生み出し、プレミアム感を演出します。印刷の色数を最小限に抑えつつエンボス加工を施す手法は、ランニングコストを抑えながら高いデザイン性を確保するための有効な手段です。

3-2. 表面の表情を整える「PP加工・ビニール引き」

  • PP加工: パッケージの表面にグロスやマットな質感を加えることで、上品で落ち着いた印象を与えると同時に、傷や汚れから守る耐久性も向上させます。
  • ビニール引き: 耐水性を確保しつつ、パッケージに上質な高級感を加えることができます。前述の馬刺しの事例のように、過度なコスト増を避けながら機能と美観を両立させる際に重宝されます。

4. 構造設計:形から「売れる」を創る

パッケージは平面のデザインだけでなく、立体としての使いやすさや流通効率も考慮しなければなりません。グライドは形状開発から深く関わることで、最適な「パッケージ体験」を構築します。

4-1. 流通と法規制を見据えた形状提案

地域特産品の「米粉サブレ(たかむすび)」の開発では、当初は「三角形」という斬新な形状を検討しました。しかし、サブレの脆さを保護する緩衝性や、外装サイズに対する中身の割合を規定する「空間容積率」の法規制、さらには将来的な空港・百貨店での展開を見据えたコスト効率を総合的に判断し、最終的には流通性の高い四角い箱を選択しました。このように、意匠デザインの枠を超え、製造・流通・法規制という専門的な壁をクリアしながら、最適な形を導き出すのがプロの仕事です。

4-2. 製造現場との連携

グライドでは、CADデータをベースに、工場の製造ラインでの制約(印刷不可領域や貼り合わせ位置など)を事前に把握し、トラブルのないデータ制作を行います。また、工場の職人と直接やり取りすることで、色合わせなど技術的な制約をクリエイティブな工夫で乗り越えることができるのです。

5. デザインの力で「売れる幸せ」を最大化する

グライドにとって、デザインとは「人と商品を幸せな形でつなぐための架け橋」です。素晴らしい商品が、それを必要としている人のもとに届き、暮らしを豊かにする。そして、作り手が正当に報われ、次の情熱へと繋がっていく。この幸せな循環を創り出すために、私たちは素材の一片、箔の一押しにまで魂を込めています。

私たちが提供するのは、単なる「容れ物」ではありません。商品単体のデザインにブランディングの手法を取り入れ、ロゴ、パンフレット、Web、そして店頭の看板に至るまで、あらゆる接点で一貫した世界観を発信する「パッケージ ブランディング デザイン」です。

「良い商品を作っているのに、その価値が伝わりきっていない」「何から手をつけていいか分からない」というお悩みをお持ちの経営者様や担当者様。まずは、お客様の想いや商品の「らしさ」を私たちに聞かせてください。グライドは、お客様の「社外デザイン室」として、共に歩み、結果を出すための最強のパートナーであり続けます。

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