パッケージデザイン
ペット用 飼育ケージのパッケージデザイン
コロナ禍の需要増を受けた低価格帯市場への新規参入
クライアントは小動物用の飼育用品を手掛けるメーカーで、コロナ禍において急速に高まった「自宅でペットを飼育する需要」に対応するため、新たなハムスター用ケージの開発を進めていました。
従来の同社製品は高価格帯のラインナップが中心でしたが、今回は小学生などの若年層でも手に取りやすい3,000円前後の低価格帯を設定し、市場への新規流入を増やすことを目的としたプロジェクトでした。コロナ禍の収束に伴い、一時的に小動物の新規飼育層が落ち着きを見せていた背景もあり、改めて「ハムスターと暮らしたい」と思わせるような、訴求力の強いパッケージが求められていました。
「可愛さ」への振り切りと大人が買いやすいデザインの両立
当初は低価格帯商品であることを意識した「お得感」のあるデザイン案も検討されていましたが、最終的にはクライアントの強い意向により、ハムスターの「可愛らしさ」を前面に押し出したデザインへと舵を切ることになりました。
具体的な要望は以下の通りでした。
「可愛い」への特化
リボンやレースをモチーフに取り入れ、商品のターゲット層に直感的に響く可愛らしさを表現すること。
大人の受容性
メインのターゲットは小学生などの子供ですが、実際に購入の決定権を持つ親御さんや大人の層が「お部屋のインテリアを損なわない」「これなら置いておきたい」と思える、シンプルでナチュラルなエッセンスを加えること。
安心感の演出
生き物を扱う商品であるため、単に派手にするのではなく、ペット用品として不可欠な「安心感」や「清潔感」を損なわないこと。
他業界からのアイデア収集と大型パッケージならではの情報設計
既存のペット用品市場にはない、独自の雰囲気を作り上げるため、同業界のデザインだけでなく、女の子向けのファッション誌やライフスタイル誌など、他業界のビジュアルを徹底的にリサーチしました。そこから得たアイデアを流用し、市場で差別化できるパッケージデザインを模索していきました。
また、本商品は30cm四方という比較的大きなサイズであるため、小物を扱う際とは異なる情報設計が必要となりました。
1.実物大での視認性確認
情報を整理し、店頭に陳列された際にどの情報が最も目立つべきか、優先順位を明確にするために原寸での検証を繰り返しました。
2.多角的なレイアウト
大型商品は店頭での置かれ方が多様であることを想定し、どの向きで置かれても内容が伝わるよう、側面にも一貫した情報を配置しました。
3.情報量のコントロール
面積が大きい分、クライアントは情報を多く盛り込みたくなる傾向がありますが、情報過多は分かりづらさに繋がります。そのため、あえて情報を絞ったパターンを別途作成し、視覚的なメリットを比較してもらうことで、最適な情報バランスを決定しました。

中身が見えない不安を解消する写真レイアウトと情緒的価値の提供
パッケージの前面に窓がなく中身が見えない商品特性を踏まえ、製品写真の見せ方と配置に細心の注意を払いました。
インテリアとの調和を示す背景
実際の「お部屋に馴染む」イメージを伝えるため、背面にシンプルな部屋の写真を配置しました。これにより、派手すぎるケージを部屋に置きたくないと感じる親御さんのハードルを下げ、購入を後押しする設計にしました。
機能の細分化表示
製品の持つ特徴を適切に伝えるため、重要な機能やポイントについては別枠でズームアップした写真をレイアウトするなど、視覚的な解説を加えました。
「共生」のイメージ想起
単なるケージの紹介に留まらず、ハムスター自体の可愛らしさを強調した写真を大きく配置することで、顧客に「ハムスターと暮らす楽しい生活」を直感的に想起させるデザインを提案しました。
バイヤーからの高評価と「売れる商品」としての市場定着
完成したデザインは、新商品発表会において小売店のバイヤーから非常に高い評価を得ることができました。店頭に並ぶためにはまずバイヤーに選ばれることが第一段階となりますが、本商品はその段階で「売れる商品」「店頭に並べる価値がある商品」として認められ、全国の店舗への展開がスムーズに決定しました。
ペット商品市場は近年、デザインにこだわる企業が増え競争が激化していますが、他業界のエッセンスを取り入れた本パッケージは「市場にあまりない雰囲気」を実現し、競合他社との差別化に成功しました。クライアントからは、当初の目的であった安価帯での流入増に大きく貢献するツールになったとの声をいただいています。




